8elements


昨年の11月にオーバーホールに出したズミクロン35mm f2.0
(8elements) が戻ってきました。  
この玉はブルーのコーティングに惹かれ中古で購入したのですが、
近接で使うと5cmほど前ピンになります。 これより前に手に入れた
同じくブルーコーティングのズマロン35mm f2.8のピント精度は
パーフェクト。R-D1やM8で使って気持ちいいほどピントがくるし
描写も良い。
ところが手に入れた8枚玉はピントはこないし、開放では眠い、
コントラストも低い。(絞れば当然シャープにはなりピント誤差も
あまり気にはならなくなりますが、やはり開放で使いたいんです) 

ハズレを引いたかなと思いながら 勘で補正しながら使って
いたのですが、やはりピントがずれるレンズを使うとストレスがたまります。
やがて防湿庫内のお邪魔レンズに成り下がり使う事も無くなってしまいました。
一時、売却しようと思いましたが、’58年当時エルンスト・ライツの最盛期の、
工作精度や金属の質感、外観デザインの美しさ、そしてブルーコーティング
のレンズを見てしまうと手放すのを躊躇ってしまう。

売っても安いだろうしなあ。 それじゃあオーバーホールで再生しようという事で、
昨年の11月に銀座のライカジャパンに持ち込みオーバーホールを
依頼したのですが、レンズ清掃、グリスの入れ替えは
可能だが磨り減ったヘリコイドのピント精度を出す事はもはや不可能だと
冷たく言い放たれてしまった。
「このまま大事にお使い下さい。」だと。

本家にサジを投げられてしまった8枚玉だが、この劣化した中古レンズを
救ってくれたのが、川崎にある某オールドレンズ、カメラ総合病院。
出来る限りの処置はいたします。 退院段階でM8とのピントの具合を
チェックします。という事で2ヶ月ほど入院させた。
先日、退院間近との連絡を貰ったので早速M8を連れて出向きM8を
預けてきた。  レンズを組上げた段階でM8との相性、ピント精度はOKの
ようで4日ほどで戻ってきた。
(M8はデジタルの為、通常はこういったサービスは
やらないそうだが、無理言ってお願いした。)

オーバーホールの内容だが、鏡胴分解掃除、ピント前ピン調整、
ヘリコイドガタ調整、中玉僅かながらカビ跡有りの為再コート、
レンズ汚れ清掃、絞り羽清掃、ヘリコイドグリス入れ替え、
そして、M8との相性ピント精度確認。 
50年間も使い続けられ一度もオーバーホール無しという事も
考えられないので、このカビ取り跡は以前のオーバーホール時の
もののようだ。 再コートするとオリジナル性が損なわれると思ったが、
カビに侵食されたコーティングを残すのもイヤだったので
再コートをお願いした。

さて、仕上がり具合ですが。
元々外見は美品の部類だったので特に変化はありません。
指標のペイントは入れ替えたようで前より鮮やかになっています。
ヘリコイドは硬からず柔らか過ぎず適度なトルクです。
絞りリングは以前よりクリック感が増しました。
ピントの精度ですが・・・
受け取る際にカウンターのテーブルの上に
メジャーをビローンと引き出し、念入りにピントを合わせ
シャッターを切る。 そしてモニターで拡大して確認。 
それを何度も繰り返す。  いい感じです。
ヘリコイド合わせの際の誤差もありますが結果は概ね1cm以内に
納まります。 ココまで合えば文句はありません。
外に出て無限遠の確認、コレも大丈夫。
これでピントズレの問題は解決、気分良く撮影に専念できます。

e0113977_1523375.jpg

M8 & summicron 35mm f2.0 (8elements)
写真展会場のお隣、喫茶トンボロで・・・


写りのほうはオーバーホール前と比べ中心部の解像度が上がりました。
コントラストも贔屓目にみて若干上がった気がします。 
それでも現行のズミ35mmf2.0 アスフェリカルに比べれば、
開放では甘いですしコントラストも低い。 
でも、ボケの具合は素直で気に入っていますし、
ピントの合った中心部分の立体感はM8だとよけい引き立ちます。
コントラストの低さと引き換えにモノクロで撮ったほうがトーンの
再現なんかは良いのでしょうね。
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Commented by 工房長 at 2008-01-24 21:01 x
さっそくお邪魔してみました^^
写真展ではいろいろなお話を聞かせていただき感謝です。
ズミクロンの記事、興味深く読ませてもらいました。
ライカジャパンよりも頼りになるお店があるのはなんとも
皮肉ですね。暖かさが伝わる描写かな、と思いました。

Commented by roxanne6 at 2008-01-24 21:16
入院代はいかほどでした?
すっきりいい描写になっていますね。
Commented by sa55t at 2008-01-24 21:29
大変参考になるお話しでした。
最新のズミクロンの絵を見たことがありませんが8枚玉ほど立体的に写るのでしょうか。それともただ切れるだけ?
私はこれを買う資金もなく今度出るコシナのNokton35f1.4を狙っています。レンズ構成は8枚そっくり。ビンボー人はフェイクでGO!
Commented by marierit at 2008-01-24 22:53
工房長さん> 昨日は遠路遥々お越しいただきありがとうございました。
飲み会のはちゃめちゃぶりには驚かれたのではないかとおもいますが、コレに懲りずまたお出かけ下さい。
Commented by marierit at 2008-01-24 22:58
六助さん>入院費は四諭吉と消費税でした。 再コートも含めてなのでこんなものでしょうか。 
Commented by marierit at 2008-01-24 23:08
sa55tさん>現行のズミは確かにシャープで切れが良いとおもいます。
でも、古いレンズの方が好きです。 ただ、古いレンズは個体差が大きいので当たりハズレが確かにありますね。 
Nokton35f1.4も魅力的ですよね。 写真展でも皆さんの話題に上がっていました。 
Commented by kinoplasmat at 2008-01-25 03:29
マリオさん、写真展お疲れ様でした。なにもお手伝いできなくて申し訳ありません。またロンドンの日常に戻っています。私も現行のきりりより8枚玉のほうが好きなのですが、じゃあどこが?という部分が難しいですね。ズミルックスだといくつもあげられるのですが。ズミクロンをどう使うのか、も含めて、それだけ奥が深いということなんでしょうか、
Commented by marierit at 2008-01-25 19:29
亀吉さんこんにちは。 あっという間の一週間でした。 今回で2回目でしたが、写真もこんな風な楽しみ方もアリかなと思っています。 ホント文化祭のノリでした。 楽しかったですね~。 
8枚玉はズミルックス球面よほど個性は無いですが、柔らかく繊細な描写です。  オーバーホールを経て永久保存版に相成りました。
by marierit | 2008-01-24 15:08 | M8 | Comments(8)